第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
「…頑張ったって、私みたいな凡人じゃ天才になんて一生勝てない。
勝ちたくてたくさん練習しても、彼らには敵わない」
ポロポロと言葉が溢れていく。
こんな、愚痴のような、皮肉のような、戯言を、
なんで私はあなたに言っているんだろう。
…西谷くんは天才だから、
私とは同じだけど同じじゃない。
憧れるし、届かない存在だし、でもそれでもその真っ直ぐさがカッコよくて目が離せない。
こんなこと思っているなんていうことをあなたに知られるのは、すごく嫌なのに話を聞いてほしい。
矛盾してる、…分かってる。
「…最後の試合も強いとこに負けて、なんかもう悔しくなくて、
負けることが当たり前に思えてしまえたのがなんか悔しくて、でもどうにも出来なくて…
なんか、それからあんまりバレー好きじゃなくなっちゃった。
…ってなんで西谷くんにこんなこと話してるんだろう…ごめんなさい…」
口数がそもそも多い方ではない私が、どうしてこんなに話してしまったのか分からない。
…この後何言われるんだろう。
幻滅、されたかもしれない……。