第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
そんなことを思っていたは束の間、ぐっと腕が強い力で引き寄せられた。目の前の視界が急に変わり、彼の…西谷くんの体温が私の肌に伝わってきた。
あれ、私もしかして西谷くんに抱きしめられてる…?
そう認識したのは十何秒後のこと。私の頭はしばらくの間、この事態を把握できずにいた。
「に、にし、のやくん…??」
「なんでそんな泣きそうになってんだよ、少なくともお前バレー好きじゃないなんてことないだろ」
「…え?」
私が?バレーを?好きじゃないなんてことない?
私はもうあの瞬間からバレーが嫌になって、選手としていることを辞めたのに。
頭の中がぐるぐる回る。
そして、彼が言う通り私の視界は少し涙でボヤけてきていた。
「…バレーをもし、嫌いになってたならマネージャーなんてやってない!!!あと、バレーを見てるお前の目、いつも楽しそうだったの俺は知ってるぞ。
だから、大丈夫。お前はバレーを嫌いになってない」
ぽんぽんと背中を叩かれ、ついに私の目から涙が落ちた。