第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
彼はキョトンと目を丸くしていた。
…そりゃそうだ、いきなり、しかも知らない女子に連絡先教えてとか言われてるんだから。
恥ずかしい。
逃げられるものなら今すぐこの場から立ち去りたい。
「…おう!いいぞ!!お前何年生だ??」
パァァと笑うその明るい笑顔に、私の心臓が射抜かれたみたいな感じがした。
「に、2年…」
「同じじゃねぇか!!俺は西谷夕!!お前は??」
「シホ…前田シホ…」
「シホっていうのか!よろしくな!!」
私の変な一言で向こうもビックリしたのか、あり得ないくらいの明るさで話してきてくれる。
ニカッと笑った彼の笑顔は本当に素敵だ。
今は片付けをしなきゃいけないから後で、とそう言って彼は戻っていった。
「よかったなぁ?シホちゃん?」
ニヤニヤしてる黒尾さん。
でも黒尾さんがいなければこんな約束出来なかった。
「…ありがとうございます、黒尾さん」
「めっちゃ嬉しそうだな」
黒尾さんはそう言って笑う。
嬉しそう…そんな笑われるほど顔に出てる??
…そして帰るとき、オレンジ色…じゃなくて西谷くんは忘れずに私のところに来てくれて無事に連絡先を教えてもらえた。
私たちが話している時の、烏野の人たちの驚いてるのか叫んでるのかよく分からない大声と、
戻った時の「成長したな〜」と嬉しそうに笑う夜久さんの顔は忘れないと思う。