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夏の風

第1章 出会いの日


むくれにむくれて

ほっぺたが地面に落ちるんじゃないかと

思いながら


トイレを済ませ焼き肉店を出たら



これまたありえへんことに

外には誰もいてへんし(涙)



ほんまに少し泣きそうになりながら

"村上くんどこ?"

なんて辺りをキョロキョロ見回してたら



"カンカン"と短く何かを叩く音がして

暗闇に目を細めると


小さく手を触るくるみが

暗闇から顔を出して…



「あれ…何でくるみだけ…?」



なんて慌てて駆けよった俺のほほを

小さなくるみの手が包み込む…



「今絶対泣いてたでしょ(笑)」



なんて笑いながら

俺の目や鼻やほっぺたを

するすると滑るくるみの手の感触に




これはただのコミュニケーションの一貫や


そう言い聞かせるのに胸は

そわそわと勝手に暴れだし

額や首筋に冷たい汗が吹き出してくる…



そんな俺の異変に

気づいたのか気付いてないのか

くるみはにっこりと笑って



「おくらちゃん…

アイス食べたくないですか?」



そう言って

俺の髪をふわふわと撫でる…





やっぱり俺はくるみに

主導権をなんか

いつまでたっても握らせてもらわれへん



そう頭の中を敗北感にさいなまれ




「何アイスがええの…(笑)?」



そうため息と一緒に吐き出した言葉に

くるみは



「そこは…

おくらちゃんのセンスの見せ所でしょ(笑)?」



なんて子供みたいに

赤く引き締まった唇から舌をつきだした(笑)
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