第7章 嘘つきな君の心
くるみの実家から帰り
一人になった家の中
右手に握りしめた
ボイスレコーダに
イヤホンを取り付けたものの
再生ボタンを押せないまま
もう1時間が過ぎた…
帰り際お母さんは
このボイスレコーダを俺に渡して
"これ…あなた宛みたいだから…
もらってあげて(笑)?"
そう言って笑った…
ちゃんと聞くべきや…
そう解ってるけど
これを聞いてしまったら
本当にくるみに
さよならをしなきゃいけない気がして
怖くて動けずにいる…
でもずっとこのままじゃあかんよな…?
どんな痛くても苦しくても
俺は立ち止まらず
前に進まなあかんから…
ちゃんとここでくるみに
お別れをするんや…