第7章 嘘つきな君の心
俺と村上くんが通された場所は
くるみが使っていたであろう部屋で
きれいに整えられた部屋の中には
たくさんの大きなぬいぐるみが
ならべられていた…
運ばれてきたお茶と一緒に
3人で机を囲むと
くるみのお母さんは
まっすぐに俺を見つめて
「お腹の赤ちゃんの
お父さんの話をするときね?
くるみはいつも
すごく楽しそうに笑ってたんですよ…
子供みたいにまっすぐで優しくて
嘘がつけない人なんだって(笑)
だから代わりに私が
嘘をついてあげるんだって
傷つかないように…
苦しまないように…
私が守ってあげるんだって
自慢げにそんなこと言ってて
それ聞いた時は
"バカなこと言って"
なんて叱ったんですけど…
実際に会ってみたら
くるみの言ってることが解っちゃいました(笑)
母親としては複雑ですけど
きっと無意識に
母性本能をくすぐっちゃうんですね…
大倉さんは…(笑)
でも…その話をしてるときのくるみは
なんだかすごく幸せそうだったんですよ?」
なんて
くるみと同じように
けらけらと楽しそうな笑い声をあげる…
そんな俺の知らなかった
くるみの一面に
胸が痛いほどに締め付けられて
「でも実際俺は…
くるみに何もしてあげられませんでした…」
そう言って顔をそらすと…
「そんなことはないと思うけどなぁ…
きっとくるみはちゃんと自分の気持ちを
伝えられなかったんだね…
なにせ頑固で不器用だから
ごめんね……(笑)?」
そう言ってお母さんはまた
けらけらと楽しそうな
笑い声をあげた……