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夏の風

第6章 約束


新幹線を降りて

病院についた頃には

もう外は暗くなっていて


面会時間が終わる5分前に

病室の前に着いた…



少しでも長く

くるみと一緒にいたくて

病院内を走ったせいで


乱れた息を整え

ぐしゃぐしゃな髪を手で直し



病室の扉に手をかけ

ゆっくりと開くと





消毒液の匂いに混ざって

扉を開けた瞬間

ふわりと香る甘酸っぱい

くるみの香り



"おくらちゃん(笑)"

そう俺の名前を呼ぶ声


けらけらと嬉しそうに笑う

くるみの笑顔






そんな

そこにあるはずのすべてが

夢だったかのように無くなっていて





目の前にあるのは



きれいに整えられたベッドと


灯りのついていない


真っ暗な部屋やった…





もしかして焦りすぎて

部屋を間違えた…(笑)?





なんて急いで部屋の外に出て

病室を確認しても



何度も何度も

目をつぶってでもこれるほど

通ったこの部屋を

間違えるはずなんてなくて




真っ暗な部屋を見つめながら

思ったんや……




約束なんてものには


やっぱり何の意味も


なかたんやって……
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