• テキストサイズ

夏の風

第1章 出会いの日


電話をするべきか…

電話をしないべきか…



そんな簡単な問題にも答えが出せないまま

くるみと初めて会った日から

もう2週間がすぎようとしていた日


今日もまたぼんやりと

スマホの電話帳を見つめて

ため息を吐き出してたら


不意に俺の右手に握られていたスマホに

誰かの指が触れ



ぷっぷっぷっぷ…


と発信画面に切り替わる…




「えっ…嫌…何で…(汗)!?」


何てあわてふためく俺を横目に


"声…声…(笑)"



そう言ってスマホを指差す安に

つられるように


ゆっくりとスマホを耳に当てると



「もしもし…?」



間違えようのない彼女の声が

スマホから聞こえてきて



心臓がどくんと

大きな音をたとる…



息を吐き出すように

「あの…俺…おおくら…やけど覚えてる…?」



早口にそう言った俺にくるみは



「ごめんなさい…覚えてなくて…」




そう申し訳なささうに言ったあと

落胆しているながバレないように




「うん…いや…仕方ないって…

一回道端で会っただけやもん…(笑)」


なんとへらへらとあほみたいに

笑う俺に…



「でも…おくらちゃんなことなら

覚えてるよ(笑

あの日こけた私の側にいてくれた

背の高い人でしょ?

今日はどうしたの…?」


なんて明るくけらけらと笑いながら

話しかけてくる…



先手必勝とは

このことかと言わんばかりに


終始くるみのペースに巻き込まれる自分が

情けなくも心地よくもあって




誘いの電話をしたはずなのに

電話を切る頃には


"じゃあ今日19時に約束ですからね?"


なんて主導権をまるごと持っていかれると言う

事態に陥ってしまっていて

実際驚かされる(笑)


でもほんまにひどい話は

ここからで…


「今日19時に約束したからな…安?」



そう電話を終えて報告した俺に安は



「ごめーん、

今日は約束あって俺無理やねん(笑)」


なんてへらへらと笑う始末で…



くるみとくるみの友だちと俺と安で

会う約束したのに今さら…(汗)!?


なんて慌てる俺の前に


"ふぁ~あっ"


なんてでっかい口をこれでもかと開けて

あくびをするゴリラを見つけて


俺と安は顔を見合わせて


頷いた(笑)
/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp