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夏の風

第4章 君は強い!


俺と安が

きりちゃんに呼び出されて

行った場所は


病院の救急外来で



きりちゃんいわく


くるみは村上くんの家を出てからずっと

きりちゃんの家にいたようで



今日はきりちゃんが仕事を終えて

いつものように家に帰ると

キッチンでくるみが倒れていたらしい…




「話は解ったけど…

何で今さら大倉なん…?


くるみちゃんがいなくなってから

大倉がどれだけ苦しんだか

知ってんの?


やっとまた前みたいに笑えるように

なったのに…


なんでなん…?」



いつも誰にでも優しい安が

俺のために目に涙をためて

きりちゃんに怒ってて


そんな姿を見ると

胸の中が申し訳なさやありがたさで

いっぱいになる…



言われたきりちゃんだって

泣き腫らした目を真っ赤にさせながら



「しょうがないでしょ…!?

だって私はくるみの親友だもん…


くるみが今1番会いたい人に

会わせてあげたかったんだよ…


大倉さんもそりゃ苦しんだかもしれないよ…?

でもくるみだって十分苦しんだよ!

今だってずっと苦しんでるんだよ!!」




待ち合い室にいた俺たちに

看護師さんが声をかけてくれたのは

そんな言い合いの真っ最中で…



結局泣いている二人を残し

俺だけが処置室に入っていった…



静かに呼吸をする

くるみの顔は穏やかで


どこか悪いなんて思えないぐらいや…



でも…



横たわるくるみをみて

気付いたことが一つ



横になっていても解るほどに

明らかにお腹が大きくなっていた…



「何で…?」



とっさにそうぽつりと呟いた言葉に

眠っていたくるみのまゆが

ピクリと小さく動いた…
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