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夏の風

第3章 君の声


"アイス食べたくないですか(笑)?"



そんなくるみの言葉に

涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔を

いそいで拭き



「すぐ買ってくるから…待っといて…?」



そう叫び

コンビニまでの道を走り出す…




公園を出る間際

一度くるみの方を振り返る


くるみはまだ

ひらひらと俺の走り出した方向に

手を降り続けていた…



コンビニについて

以前は何を買えばいいのか

迷ってなかなか決められなかった

アイスの味を

今回は迷うことなく抹茶味を2つ

手に取りお金を支払い


またくるみのところへ

走り出す…



ただただあの笑顔を見たくて



「お待たせ(笑)」



そう息を切らし

戻った俺を待ってたんは




誰もいない

静かな公園のベンチで



またあの日と同じイタズラか…(笑)




なんてため息を吐き出しながら

名前を呼び姿を探したけど



"おくらちゃん(笑)"


そうけらけらと笑うくるみの声は

いつまでも聞こえてこなくて




またまた鈍い俺は

この時になって気付かされたんや…




人間は何度後悔すれば

間違えを犯さなくなるんやろう…?




やっとの思いで掴んだくるみの手を



離しては

絶対にいけなかったのに




くるみはきっと


俺の気持ちも

村上くんの気持ちも


そして自分の気持ちさえも


全部全部理解した上で



今日俺に


お別れを言いに来たんや…




だから言うねん…

くるみはずるいって(笑)



自分だけちゃんとお別れをして


残された俺は

どうしたらええの…?




やっとくるみに

好きやって伝えられたのに…



やっとスタートラインに

立てたと思ったのに…





いつもくるみは

俺のずっと先を走ってて




出会ってから今まで一度も俺は

追い付くことさえ出来ずにいる…
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