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夏の風

第3章 君の声


運命の日は

ある日突然訪れる!



そんな言葉を聞いたことがあったけと


あれは本当や!!!



だって何回俺から連絡をしても

何の返事も寄越さなかった

くるみから



やっと…

ほんまにやっと…



連絡が来たんやから…



待ち合わせをした場所に

1分でも遅れないよう


30分も前に公園に着いたのに



なぜだかくるみは

すでにあの日二人でアイスを食べた

ベンチに座っていて…



「くるみ!!」



そう叫んで走り出した俺に気付いて

声のする方に笑顔で手をふる…



ベンチに座っているくるみを

勢いよく抱きしめた俺に



「久しぶりだね…おくらちゃん(笑)」



なんて何がおかしいんだか

いつもと変わらず可笑しそうに笑いながら

明るく俺の名前を呼ぶ声に…





振り回されてばっかりの

自分に少し腹は立つけど


でも今は

そんなことはどうでもよくて

ずっとずっと言えてない

あの言葉を伝えるんが先なんや…



「聞きたいことも…

話したいことも…

言いたいことも…


いっぱいあるのに…

何で急に俺の前からおらんなんの…?


くるみはずるいわ…」



「うん…」



「俺はくるみが

初めて会った時からずっとずっと

くるみだけが大好きやのに…


そうずっと伝えたかったのに…」



まったく

なんて情けない告白やねん…



アイドルなんかやってて

人に夢を与えてて

ファンの前ではカッコつけまくりやのに



なんでたった一人の女の子の前でだけは

俺はこんなにダメダメに

なってしまうんやろ…?



涙でぐちゃぐちゃになってる顔を

知られたくなくて


くるみを抱きしめたまま

鼻水をすする俺にくるみは



「ありがとう…おくらちゃん…

すごくすごく嬉しいよ…?」



そう言って

優しく俺の背中を撫でる…



きっとくるみは

解ってたんやろな


今必死に隠してる

涙でぐちゃぐちゃな俺の顔にも


俺の隠してた本当の気持ちにも…



だから君はこの時言ったんや

あの日と同じように…




「ねぇ…おくらちゃん…?

アイス食べたくないですか(笑)?」
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