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夏の風

第3章 君の声


幸せボケをしていた俺が


"あれ…何かおかしない…?"


そう気付いた時には


あの日からもう2日も立っていて



電話をしても

メールをしても


返ってくることのない返事に


胸がざわざわと

慌ただしく騒ぎだしていた…




いてもたってもいられなくて

村上くんに電話をしてみると




「おう…何や大倉(笑)?」



なんていつもと変わりのない

声が聞こえてきて…



変わったことはないかと

聞く俺に



「別に無いなぁ…(笑)

後この間はすまんかった…

くるみがお粥美味しかったって

喜んでたわ…(笑)」




そんな

予想していなかった返事を

返してくる…




電話を切った後

こんからがった頭を

自分なりに整理してみると…





1。くるみは俺を好きやと言った


2。幸せに気持ちに支配されて

忘れてたけど思い返せば

信ちゃんを裏切りたくないとも言ってた


3。またまた幸せに溺れて聞こえてない

ふりをしてたけど

今日"だけ"は側にいてと言っていた



最後決定的なのは


4。俺はくるみに自分の気持ちを伝えてない…




これをまとめると

俺を好きやけど

信ちゃんを裏切れない

気持ちはいらないから今日だけは

側にいて…?



これは今さらやけど

ひどくまずい気がする…



くるみは俺が

くるみを好きやと気付いてなくて


たった1日だけの相手として

俺に抱かれて


前と変わらず村上くんの側にいる…




訳がわからんし

ぎゃーっと大声で叫びたくなる…



どうして俺はまた

1番大切な言葉を



明日でいいなんて

思ってしまったんやろ…?



伝えなあかん言葉は

絶対に先延ばしになんか

したらあかんて



痛いほどに解ってたはずやのに…




発信ボタンを押す手が

怖くてぶるぶると震えだす…



ずっと繋がることなく

いつの間にか


プツリと音を出すことをやめた

スマホを片手に



いつも後悔ばかりして

少しも成長しない自分に



噛み締めた唇から

じわりと血の味が口の中に

広がっていった…
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