第2章 君の隣
「好きって何……?」
泣きじゃくって
暴れまわるくるみの体を
必死に押さえ付け
そう呟いた俺に
「バカみたいだけど私は…
おくらちゃんが…好きなの…!!
信ちゃんを裏切りたくないのに
どうしても気持ちが勝手に
動き出しちゃうんだよ…
おくらちゃんは私を何とも思って
無いんでしょ…?
だったらもう優しくしないで…
その手で私に触れないでよ…」
くるみをその目から
たくさんの涙を溢れさせながら
力の抜けた俺の手から抜け出し
バタバタとまた体をよじり出す…
頭が言葉を理解すんのに
かかった時間はおよそ1分…
その短いようで長い1分間で俺は
落ち込んで
泣いて
笑って
凹んで
たくさんの感情を一気に爆発させ
まず一番に行動に移したことは
くるみの涙でぐちゃぐちゃな
ほっぺたを両手で押さえ込み
あの日逃げ出すことしか出来なかった
薄く赤い唇に
キスをすること…
俺の体の下で
バタバタと暴れていた手足が
動きを止め
ただ静かに
お互いの唇が触れあう音がした…