第2章 Jewel
『まだ分からない?私がさっきの人間よ』
女は指笛を鳴らした
すると海岸に面した森から狼が現れた
『元の姿に戻って』
狼は頷き再びドラゴンへ
「…は…!?」
『私は、海賊が嫌いなの。だからこうして海賊を苦しめているのよ』
「ッ!!!」
エースは敵対心剥き出しにして体を炎へと変えた
女は被っていたフードを取った
透き通るような銀色の長い髪
海のように深い青い瞳
『私の名はシュメリード・ロティア』
「…」
『名前くらい、名乗りなさい』
「……ポートガス・D・エース」
『私をどうしたい?』
「さっきの仕返しをする」
ロティアは面白そうに笑った
エースにはその小馬鹿にした態度が気に食わなかった
「俺と勝負しろ!」
『ええ、いいわよ』
あっさりと受け入れた女に、エースは少し動揺を見せた
『さっそくやりましょ?ね?』
「…その気ならさっさとケリをつけてやる!」
エースの攻撃から戦いは始まった
『ふふっ、おバカさん。相手の力量を見定めずに無闇な攻撃は身を滅ぼすと覚えておくといいわよ』
「うるせぇ!」
炎の攻撃を繰り出した
しかし、その攻撃は炎もろとも彼女の抜いた剣に吸い込まれていく
「は!?」
『この剣は私が作り上げた宝石でできているの。ダイヤモンドよりも硬く、どんな剣よりも鋭く、そしてあらゆる攻撃を吸収する』
「…卑怯だろ」
『敵に卑怯も何もないわ』
「正々堂々と戦えよ!」
『あら、私は正々堂々と戦っているもの』
ロティアの余裕そうな顔に、エースは焦りを見せる
だが、ここで負けを認めたら恥だと知っている
「火拳!!!」
『ティアーウォール』
砂が硬化して壁を作り、エースの攻撃を防ぐ
そして一瞬の隙をつき、剣をエースの喉へ走らせる
寸前で、止めた
『これもね、海水で作ったの。これで切られたら死ぬかもね、ふふっ』
「!!?」
圧倒的にエースが不利だ
どんな攻撃も、彼女には効かない
効かないというよりか、全て防がれてしまう
(何か策は、アイツを打ち負かす策は!)