第4章 Memorial
コンコン…とドアをノックする音がした
「エース、いるかよい」
「あぁ、いるぞ」
「親父が呼んでいるよい」
「分かった、行く」
きっとロティアの事だと分かった
エースはロティアを一瞥すると部屋を出た
「エース、お前も勝手なことをするよい」
「なんか、俺、あの女に惚れた」
「…そうかよい」
エースはどことない強さと闇を抱えた彼女を守りたいと思うようになっていた
それは、恋と言うには早いが似ている想いだった
「まぁいいよい。親父が何というか俺にも分からないよい」
「でも俺は説得はする」
エースは白ひげの部屋へ入っていった
ロティアは深い眠りに入っていた
その闇の奥の、隠した記憶が夢としてじわじわと攻め寄せていた
哀しい哀しい記憶…
それは、1000年越しの薔薇の呪い
呪いの忌み子としてこの世に生を受けた少女
自分以外の命をもって贖うしかなかった悲劇の決断
少女に課せられた贖罪は終わらない
生きてなお、罪を償っていくしかない
それが、いかほどの苦痛か誰にも理解はしてもらえないであろう
『…死にたく……ないよ…』