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炎と氷輪の魔女(エース)

第4章 Memorial


《起キロ》
『ん…』
《ロティア、起キロ》

ロティアは薄らと目を開く
頭が痛い
それだけじゃない、身体中重いのだ

『ルゼット、ここはどこ?』
《ロティアハ負ケタ。ダカラアノ男ガオ前ヲ船ニ連レテ来タ》
『…は?』
「よう!起きたか?」

聞き覚えのある声
最悪だ、声に出そうかと思ったくらい顔を歪ませた

『…』
「不満か?勝負ふっかけたのはお前なのに」
『…うるさい、海賊はいつもこうだ』

思い出したくない、過去の記憶
かつて、海賊に囚われ奴隷として生きてきたロティアは、今でも海賊を恨んでいた

『私の背中には海賊に奴隷にされた時の傷がある』
「…?」
『私はこの傷がある限り海賊を嫌う』

ロティアは服を脱いだ
エースはおどおどしていた
女の裸くらい、見たことはあるが…
ロティアはお構い無しに背中を見せつけた

「!!」

大きなバッテンの傷から、小さな傷まで残っている
まるで、憂さ晴らしに傷をつけられたかのようだ
見ていて痛々しい

『海賊にやられた。まだ、12歳の頃に』

幼い少女にこんなトラウマにも似たことをするなんて…

「…あの、悪かった……」

エースは丁寧におじぎした
すると意外にもロティアは目を見開いた

『海賊にも、あんたみたいな礼儀正しい人はいるんだ…』

ロティアはフェンリルの姿のルゼットの頭を撫でながらそっと微笑んだ
エースはその顔をじっと見つめた

『…あなたが、私を守ると約束してくれるならば。私はあなたの望み通りここにいる』
「…」
『私は、怖いから…。…自分が』

自分が怖いとはどういうことだろう
何を恐れていると言うのだろう

「わ、かった」
『信用していいならその証拠にあなたのことを教えて』

戦闘中に気づいた、エースの秘密
誰にも言えないような…

「俺が話したら、お前も話してくれるか?」
『ええ、そうね』

エースは重々しく口を開いた
しばらくは声が出なかったが、ようやく声を発した




想像してたかもしれない
でも、エースが語ったのは衝撃なことだった
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