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炎と氷輪の魔女(エース)

第2章 Jewel


「…は?」
『私には両親と姉と弟がいたわ』

おかしそうに話し始めるロティア
エースは愕然としている

『私はこんな髪色だから家族にも疎まれたわ』

そういうと一瞬切なげな顔をした
だがすぐに笑みを浮かべたため、エースは見間違えかと思った

『そして破壊の力を持ってしまった』
「悪魔の実か…」
『違うわよ』

そういうと、左手の手袋を外して近くの石に触れた
その石はボロボロと崩れ、形を無くした

『この手で触れたものは全てを破壊してしまう。それが生きている人間ですら…』

最初に命を奪ってしまったのは家で飼っていた猫だった
撫でようとして左手で触れた瞬間、猫は死んだ

「破壊の…」
『この手に、腕にある刻印が私の破壊の力を意味するのよ』

ロティアの腕には真っ赤な薔薇と茨が絡みつくような模様があった
刺青のようだが、違うのだろうか

『刺青ではなく生まれつき。私は血薔薇姫に憑依されて生まれてきたのよ』

血薔薇姫…
それは誰もが知るおとぎ話のような有名な話
悲しく、残酷な結末の話

「…もう、分かんねぇよ」
『…』

ロティアはエースに向けていた剣を降ろした
そして切なげな表情をしてこう言った

『私は私の奴隷だ』

心を乱しているのはロティアの方かも知れない
エースは意思を何かに動かされた
愛してくれる家族を知らないのなら、それを教えてやりたい
そんな思いに包まれていた

『お前は助けてやる。二度と目の前に現れるな』
「見逃してくれなんて頼んでねぇよ。俺が逃がさねぇ」
『知らないわ。もうあんたに興味がないもの』

ロティアは炎の壁に向かって剣を振った
すると、通れるくらいの隙間ができた

「行かせねぇ!勝負は終わってないんだ!」
『戦う気が失せたわ』

エースはロティアの態度を腹に据えかねた

「なら…」

エースはロティアに追いつき肩を掴んだ

『なっ…に……』

振り向きざまにロティアの鳩尾を殴った

「連れてっていいか?」

エースはずっと見守っていたロティアのドラゴンに言った

《勝負ハ見テイタ。ロティアハ負ケタ。オ前ノ好キニスルトイイ》
「そうか」
《ダガ、俺モ連レテイケ》

ドラゴンは再び狼の姿になった
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