第2章 Jewel
ロティアの腕にはわずかながらに火傷があった
それはきっと…
「お前は全ての攻撃を無効化できるわけではない訳だ」
『…』
「そうだろ?」
エースはそう言うと地面に触れた
ロティアは笑みを顔から消してじっとエースを見た
「炎上網」
2人を囲む炎の壁
ロティアは急に慌てて周りを見回した
「やっぱそういうことか」
今、ロティアが変化できるのは炎か空気しかない状態
空気になれば中身が空洞の宝石になってしまい逆に不利だ
そして炎は…
「火の宝石になれば火の攻撃は弱点になる」
『ッ…!』
空気中から水分だけを吸収して水の宝石になることもできる
だが、火に囲まれたこの状態では空気中の水も蒸発してしまっていて極わずか
立場が逆転した
「さっきまでの仕返しをさせてもらおうか」
『来るといいわ。返り討ちにしてあげる』
ロティアに残された武器は海水で作り上げた剣【バレット】だけだ
ロギアのエースに海水の剣は効くはずだ
『この剣を見くびらない方がいいわよ』
「女だろうと俺は手加減しねぇんだ、悪いな」
この熱い空間で体力を吸われるのはロティア
圧倒的不利な状態でロティアは剣を振り回す
まるで底なしのロティアの体力はエースに少しずつだがダメージを与えている
「なんだよお前はほんとに!」
『見くびるなと言った』
「俺のことも弱く見すぎだお前」
『弱いでしょ?己の心に打ち勝てないあなたなんて』
ロティアの瞳はエースの心の奥底に隠したある秘密を見透かしているようだった
だがロティアの能力にそんなことはできない
その瞳がただそう感じさせているだけなのだ
『何を隠しているか知らないけれど、自分に勝てないあなたは弱いのよ』
「んなことねぇ!」
『じゃあ言える?あなたはその隠している誰にも言えないような秘密を口にできるわけ?』
「…ッ!」
動揺を見切ったロティアはエースの背後にまわりバレットを突き立てた
そしてロティアの言葉はエースをさらに動揺させることになった
『私は親も兄弟もこの世にいない』
ロティアはニヤッと笑ってこう言い捨てた
『みーんな私が殺したの、ふふふっ』