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夜の宝石

第3章 帰還


──ピピピピッ、ピピピピッ

「んぅ……うるさい…」

枕元で軽快な電子音を響かせるその機械を手探りで止める。

普段、拠点を転々と変えている私が今いるのは、パドキア共和国デントラ地区にあるビジネスホテル。

1泊6000ジェニー。

私の名前はメア。といっても、この名前で私のことがわかる人はそういないだろう。

フリーランスの暗殺者『ナイトメア』、と言えばお分かりだろうか。

その昔、ある人に言われた言葉の通り、私はその界隈では勝る者が居ないほどの暗殺者になった。

_______________


物心がつく頃には既に暗殺者としての訓練が始まっていた。

あの日、流星街で、まだ赤ん坊だった私を拾ったのはかの有名な暗殺一家のシルバ=ゾルディックその人だった。

シルバ様は私にメア=ゾルディックという名を下さっただけではなく、私を一流の暗殺者として育てて下さったのだ。何故かご家族には内緒だったが。

シルバ様の訓練は苛烈を極めたが、私は期待に応えようと必死に食らいついた。

まあ、まだ念能力を覚えたての5歳の子供を格闘の聖地である天空闘技場に無一文で放り込んで、フロアマスターになるまで帰ってくるなと言われた時には流石にシルバ様が悪魔に見えたが。

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