第4章 試しの門
「中へ入るには守衛室の横にある扉を使いますが、ここから先は私有地となっておりますので、見学できません〜」
そう言って、バスガイドさんが説明を終えようと来た時だった。
「そんなのハッタリに決まってらァ!」
嫌に大人しいと思っていた、例の男達がようやく声を上げた。
「誰も見たことがない暗殺一家」
「奴らの顔写真にでさえ一億近い懸賞金が懸かってるって話だ。噂だけが独り歩きして、伝説となり、実際は大したことないってのが落ちよ!」
無駄にデカい武器を持ったガタイのいい二人組の男はそう言いながら、ずんずんと守衛室に向かっていく。
「オラァ!!門を開けな!」
守衛室の扉をぶち壊した二人組は守衛である老人の胸ぐらを掴み脅しにかかる。
「こっ、困りますよぉ!私が旦那様に叱られるんですから〜」
胸ぐらを捕まれ、半ば宙ぶらりん状態の守衛は弱々しい声を上げた。
「心配すんな。どうせあんたのご主人様は俺たちに始末されるんだからな」
ピク……
「始末する……ですって?」
男達の言葉に反応した私は静かにそう呟いた。
非常に小さな呟きだったが、閑静な森の中だったおかげで耳に入ったのだろう、二人組がギロりとこちらを睨む。
「よォ、姉ちゃんよォ…何か文句でもあんのか?!」
守衛の胸ぐらを掴んでいた男はその手を離して、ゆらりとこちらに近づいてくる。
「そう…ね。文句というか、これは忠告よ。分不相応な考えはやめて今すぐこの街を出ていくべきだわ。貴方たちの実力じゃ、まず、ゾルディック家の執事にすら会うこともできないでしょうから」