第3章 鎌ノ助に吸血される
その時。
グオオオ!と鳴き声がして、辺りからわらわらと厄魔が現れた。
「ちっ、いいとこだったのに……」
「い、いいとこって……」
なまえは助かったと思ったが、厄魔に囲まれてしまった。
それに、数がどんどん増えていっている。
「うーん……これ、僕一人で倒せるかな?」
首をひねる鎌ノ助の様子は、至極呑気なものだったが、なまえは非常に不安を煽られた。
「か、鎌ノ助くん……」
「ねぇ、こいつらを絶対倒すって言ったら、先にご褒美くれる?」
ご褒美、今はそんな場合だろうか。
しかし、なまえは従うしかないのだ。
厄魔達をどうにか出来るのは、現状鎌ノ助しか居ないのだから。
「分かったよ……何をすればいい?」
「あんたの血が欲しい」
肩に手を置かれ、鎌ノ助の綺麗な顔が間近に迫る。
鎌ノ助の熱い息が、首筋に掛かった。
目を細めて、なまえは鎌ノ助の背中に腕を回す。
「んっ……」
「あ、あぁ……!」
「っはぁ、はぁ……もっと、欲しい……」
鎌ノ助の牙が、深々と皮膚に刺さる。
なまえは自力で立っていられなくなって、鎌ノ助に身を委ねた。
思いの外逞しい腕が、なまえの身体をしっかりと支える。
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