第3章 鎌ノ助に吸血される
それから何度も町の人に同じようなことを言われ、逐一この子は僕のだと訂正した鎌ノ助。
なまえは恥ずかしくて気が気でなかったが、鎌ノ助があまりに堂々としているから、否定するのは間違っているのかとすら思った。
「じゃあ、食べよっか」
「うん」
町の外れにある原っぱで、団子の包みを開ける。
ここは、鎌ノ助のお気に入りの場所の一つなのだそうだ。
早速食べ始めた鎌ノ助に笑みを溢しながら、なまえも団子を手に取る。
「鎌ノ助くん、美味しい?」
「ん……」
「ふふ、口に付いてるよ」
つい自然な動きで指を伸ばしたが、はっとする。
少し幼い容貌の鎌ノ助には、たまに子供にするようしてしまいそうになるのだ。
「どこ?取ってよ」
「え、でも……」
「取ってくれないの?」
鎌ノ助が目尻を下げる。
こうされると、なまえはどうにも弱いのだ。
恐る恐る、鎌ノ助の口に手を持っていき、端をなぞる。
その指を鎌ノ助が舐めるから、身体がビクンと震えた。
「か、鎌ノ助くん……離して……」
鎌ノ助の口に指を食まれ、吸われる。
もうとっくに綺麗になった筈なのに。
指の付け根を舌でなぞられて、変な声が出そうになるのを、なまえは口を押さえて堪えた。
.