第3章 鎌ノ助に吸血される
地べたに座り込んだなまえを庇うようにして、鎌ノ助は厄魔と向かい合った。
覚醒して、厄魔を次々となぎ倒していく鎌ノ助に、なまえは見とれずにはいられなかった。
美しくて、勇ましい……。
厄魔を全て倒し終えた鎌ノ助は、すぐさまなまえに駆け寄ってきた。
上の空のなまえを、鎌ノ助は酷く心配している。
実際は、鎌ノ助に見惚れてぽーっとしていただけなのだが。
「そんなに厄魔が怖かった?」
「そ、その……」
鎌ノ助くんがかっこいいから、とは言えずに、なまえは押し黙る。
すると、なまえに優しく抱き寄せられた。
「あんたのことは、僕が守るから。……だから、そんなに怖がらないでよ」
「鎌ノ助くん……」
直球な鎌ノ助の言葉に、なまえは何を恥じていたんだろうと、馬鹿らしくなった。
「あのね、鎌ノ助くん……すごくかっこよかった」
「えっ……!」
鎌ノ助がビクッと震えたので、微妙に身体が離れ、真っ赤になった頬が見えた。
彼も照れることがあるのだと、なまえは意外な気持ちだった。
「ふふ、鎌ノ助くん」
かわいい、と思ったが、それは流石に言わない。
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