第3章 鎌ノ助に吸血される
ある日、鎌ノ助となまえは、二人で町に来ていた。
鎌ノ助は散歩がてら団子屋に寄るつもりだったようだが、途中何度も迷いそうになったのは言うまでもない。
以前幸村と来ていて良かったと思うなまえであった。
「おや、鎌ノ助様。そちらのお嬢さんは……」
団子屋の店主に目敏く見つけられ、そういえばとなまえは苦笑する。
この間の幸村はめちゃくちゃにからかわれていたから、鎌ノ助も同じ道を辿るのだろうか。
「幸村様の好い人かと思ったんですがな……今度は鎌ノ助様と……」
「……誰が幸村のだって? この子は僕の」
しれっと言い放つ鎌ノ助に、なまえのみならず、団子屋の店主まで面食らった。
「そ、そうでしたか……それは失礼しました」
「うん、みたらし団子くれる?」
しかしめげない団子屋の店主。
鎌ノ助に団子を渡しながら、最後にこう言った。
「いやあ、しかし……お二人がそういう仲とは。お似合いですよ!」
お似合いも何も、そういう仲ですらないのだが……。
なまえは、鎌ノ助がどういうつもりで僕のと言ったのだろうと、顔を赤くして考えていた。
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