第2章 鎌ノ助の好物
グツグツ煮える鍋をかき混ぜながら、なまえは早くも達成感に浸っていた。
先程の白い粉の正体は、片栗粉だ。
実はタレに関してはほぼ材料を間違えていないので、一味足りなくてなんだか薄いくらいの味だろう。
「あ、炊けたみたいだよ」
米も炊けて、そこからは鎌ノ助と餅つきをしつつ、なんとかみたらし団子が完成したのだった……。
「ねぇ鎌ノ助くん……本当に味、大丈夫?私も食べていいかな?」
「えぇ……これ僕の」
全て鎌ノ助が食べたので、出来上がりの程は鎌ノ助のみぞ知るところとなった。
後日、なまえはみたらし団子作りが最初から既に間違っていたことに気付くのだが、鎌ノ助は何故言ってくれなかったのだろうと、顔から火が出る思いであった。
何も言わなかったのは鎌ノ助の優しさか。
否、そうではない。
「なんか、可愛かったから……僕の為に一生懸命で。あんな風にされたら、餅でもなんでもどうでもよくなっちゃうじゃん」
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