第2章 鎌ノ助の好物
「今日は……なんでしょうか」
連日情報収集の任務に駆り出されていた鎌ノ助が、久々になまえの部屋を訪ねた。
そして、ご褒美の言葉を聞いて、なまえは身を強張らせた。
「あんたの手料理が食べたいな」
「手料理……」
とうとう血を吸われてしまうのかと思っていたら、今回のご褒美は、予想外に可愛いものだった。
料理は全く出来ないというわけではないし、些か安心したなまえ。
しかし、その安心は油断だった。
台所に来るなり、なまえは自分が浅はかだったのだと知った。
なまえが居た世界の台所とは大分、というかかなり勝手が違う。
便利な台所雑貨などはもっての他で、米は炊飯器ではなくかまどで炊くのだ。
「私、なにを作れば……」
「僕、みたらし団子がいいな」
それは料理なのかはともかく、作り方がいまいち分からない。
団子ということは、餅……。
なまえは、重大な間違いをしていたが、それに気付いていなかった。
「餅米って、どこにあるのかな?」
首を傾げる鎌ノ助に色々と教えられながら、かまどで米を炊く段階までいった。
餅のほうはなんとかなりそうだと余裕綽々でいたら、間違って吐くところを吸って蒸せた。
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