第1章 鎌ノ助のおねだり
なまえの手を取り指を絡めると、鎌ノ助の目が開いて、じっと見つめる。
「ねぇ、僕と居るときは、他の皆の話はしないでね」
「それもご褒美……?」
平静を装うなまえだが、少し、心臓が苦しい。
吸血される時の比ではない鼓動は、鎌ノ助だからなのだろうか。
なら、鎌ノ助に血を吸われる時がきたら、どうなってしまうのか、指先が不安に揺れる。
「ううん、お願いだよ」
お願い。
強制力はない、他愛もないことだ。
でも、なまえには鎌ノ助のお願いが、まるで鎖のように感じた。
なまえを鎖で縛り付けた当の本人はというと、もう寝入ってしまっていたのだけれど。
『おーーい、鎌ノ助ー!』
『あ、幸村くん』
『えっ、なんで君の部屋に鎌ノ助が……ひ、膝枕……!』
『こ、これは……ゆ、幸村くん、鎌ノ助くんを探してたんだよね?』
『えぇーと……飯が出来たから、呼びにきたんだけど……起きないよな?』
『起きないね……』
『あはは……』
『ははは……』
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