第1章 鎌ノ助のおねだり
「う、うん……ご褒美って、何が欲しいのかな?」
少し機嫌が悪くなった気がする鎌ノ助の様子を窺いながら、恐る恐る聞いてみる。
皆の無事が気になったが、鎌ノ助がここに居るなら、きっと大丈夫ということだろう。
「……よしよしして」
「よ、よしよし……?」
よしよしとは、子供を褒める時に、撫でたりしてやること……。
つまり、撫でてほしいということなのか。
でも、それだったら鎌ノ助はなでなでしてと言うだろう。
前に、鎌ノ助が急に頭が痛くなったと、そう要求してきた。
「ねぇ、してくれないの?」
「え、えぇと……」
とりあえず、頭を撫でてみる。
鎌ノ助は、猫のように額を手に擦り付けてきた。
なでなでは、間違ってはいなかったようだ。
「え、鎌ノ助くんっ?」
腰に腕を回して、なまえの身体にもたれ掛かる鎌ノ助。
なまえが戸惑っていると、腹に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
もっと撫でろと催促しているのかと思い、後ろ頭を軽く叩いてやると、鎌ノ助は満足げになまえの膝を枕にして仰向けに寝そべった。
「ふふ……柔らかい、気持ちいいな」
うっとりと微笑んで、鎌ノ助は目を閉じた。
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