第6章 鎌ノ助の求婚
「……そっか、分かった」
意外にも、鎌ノ助はあっさりと引き下がった。
なまえに、嫌だから断ったのではないのだと、言い訳する暇すら与えずに、厄魔の群れに突っ込んでいく。
無茶苦茶な戦い方で、傷だらけになっていく鎌ノ助。
「なんだあれは。あいつらしくもない……」
「鎌ノ助、なんか変だぞ!」
仲間にも動揺が伝染している。
追い詰められる鎌ノ助を見ていると、なまえは自分の答えが間違っていたのだと、強く思った。
居てもたってもいられず、叫んでいた。
「鎌ノ助くん!! 私、鎌ノ助くんのお嫁さんになる!!」
「なまえ……」
「な、なんだァいきなり……」
「フッ、佐助よ、男女の仲とはいつでも唐突なものさ」
すっとんきょうなものを見る目、幸村は固まり、信之は苦笑しているが、そんなことはどうでもよかった。
「勝って!!」
「……うん」
そこからの鎌ノ助は凄かった。
ほぼ一人で、厄魔の群れを片付けたのだ。
「鎌ノ助の奴、覚醒してんのか!?」
「姿は変わっていないようだが……」
鎌ノ助の鬼神のごとき戦いぶりは、後に、「鎌ノ助の祝言騒動」として長く語られることとなるのであった。
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