第6章 鎌ノ助の求婚
いつも通りの、にぎやかな城下町。
なまえは珍しく一人で散歩をしていた。
すると、にわかに周囲がざわめき出す。
厄魔だ! 数多の叫び声と、押し寄せる群衆。
身動きがとれなくなっていると、力強く腕を取られた。
「なまえ……やっと、見つけた」
「鎌ノ助くん! 厄魔退治は……」
「あんたが、ここに居るって聞いたから……」
表情に安堵の色を浮かばせた鎌ノ助は、額に汗を幾筋も流している。
それを拭ってやる暇もなく、鎌ノ助に引っ張られて走り出す。
「来たか、鎌ノ助! 領民は避難させたから、あとは厄魔を倒すぞ!」
鎌ノ助に連れられて来た場所には、おびただしい数の厄魔が居た。
既に槍を振るっている幸村に代わり、信之が指揮をとっている。
「なまえ」
「な、なに?」
「この戦いで勝ったら、僕のお嫁さんになってくれる?」
お嫁さん、という響きだけで、なまえは多大に混乱した。
というか、そういう勝ったら何かしてくれるかというのは、フラグというやつだと、どこかで聞いたことがある。
それに、鎌ノ助との関係は曖昧で、よく分からない。
だからか、上手い言葉が浮かばなかったのだ。
「だっ、駄目……」
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