第5章 鎌ノ助のやきもち
鎌ノ助の意図が分からない。
口も利かないほど怒っているくせに、なまえに酷く優しく触れる。
「鎌ノ助くん……どうして……?」
「あんたは誰のもの?」
手のひらに柔らかいものを押し付けられて、その熱さで唇と知る。
鎌ノ助が牙を出す様子はない。
「そんなの……」
「分からない?」
急に布をほどかれて、間近に鎌ノ助の顔が迫っていた。
鎌ノ助は、愛しげになまえを見つめる。
その眼差しのせいで、込み上げていたものが流れ出す。
「……泣いたの?可愛いね」
なまえの目尻から溢れた涙を吸って、鎌ノ助は耳元で囁く。
「なまえは僕のだよ」
「鎌ノ助、くんの……」
「うん」
満足そうに、鎌ノ助は目を閉じて? となまえにいつものお願いをする。
目を閉じれば真っ暗で、けれど怖くはなかった。
「んっ……」
鎌ノ助となまえの、二人の影が、一つに重なった。
みたらし団子は鎌ノ助が美味しく頂きました。
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