第5章 鎌ノ助のやきもち
そろそろ鎖鎌の一つや二つ取り出したのではないか……。
才蔵が極力首を曲げずに鎌ノ助の方を見ると、何かを察した佐助が、鎌ノ助を連れていこうと奮闘していた。
見なかったことにして、才蔵は佐助に全てを丸投げした。
「ふふ、いい調子だ。ここはこうして……」
「さ、才蔵くん……」
折角なまえに料理を教えるのなら、楽しまなくては。
そんな精神で、手取り足取り腰取りする才蔵。
終始後ろから密着していたので、鎌ノ助の機嫌は降下の一途を辿った。
「才蔵の奴……! あんなことしたら、ってぇ! 鎌ノ助! 行くな行くな!」
「僕のなまえなのに……!」
ついでに言うと、佐助の苦労もとてつもないものだった。
「出来たぁ……才蔵くんのおかげだよ!」
「お礼は、君がその団子を食べさせてくれればいいよ」
戸惑うなまえに、才蔵は、さぁ! と迫る。
これまで台所に乱入しようとしていた鎌ノ助が、急に逆方向に走っていく。
佐助はなんだと思ったが、今は鎌ノ助を追うより先にすることがある。
「才蔵!! お前、調子乗りやがって! 大変だったんだからな!」
「えっ、佐助くん?」
「不粋だぞ、佐助」
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