第4章 ※鎌ノ助とお風呂※
「んんっ……鎌ノ助くん……」
なまえ自身もどうしてそうしたのかは分からないが、鎌ノ助の頭を撫でる。
いつもフードに覆われた髪は、柔らかい猫っ毛だった。
「ふふ、気持ちいい……」
なまえの胸に顔を埋め、今にも眠りそうな鎌ノ助。
揺れるしっぽが、お湯を波立たせていた。
風呂場から出てきたなまえは、偶然佐助と才蔵に会った。
「おう!」
「風呂上がりの君も」
「湯加減はどうだった?」
出会って早々言い争いを始める二人に、なまえはフッと笑う。
どこか憂いをひそめた、艶のある笑みに、佐助も才蔵も動きを止めて見入った。
「……いいお湯だったよ」
「そ、そっか!」
「佐助くん、才蔵くん。じゃあまた」
「あ、ああ……」
なまえが遠くまで行くのを見送ると、早速ひそひそ話が始まる。
「な、なぁ……あいつ、なんつーか……色っぽい? っつーのか……?」
「佐助に同調するのは癪だが、そうだな」
「なんだよそれーっ!」
絡んでくる佐助をあしらいながら、才蔵は考える。
さて、あれは誰の仕業だろうと。
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