第2章 【裏】恋のスパイス/ナポレオン・ボナパルト
「うわー、遥香ちゃん大量だね。」
遥香が貰ったプレゼントを見てアーサーは呟いた。
「俺からもあるよ、プレゼント。物は沢山貰うだろうって思ったから俺は思い出に残るやつ。」
意味深な発言に遥香は興味を抱いたらしく、前のめりになりアーサーの言葉を待った。
「シャーロック・ホームズの新作。出来たのは今さっき。どう?読みたくない?」
「嘘!?読みたい!」
アーサーがヴァンパイアとして生を受ける前に執筆していたというシャーロック・ホームズシリーズ。遥香の育った時代でもそれは人気ならしく、遥香もまたアーサーの作品を好いているうちの一人だった。
「今からアーサーの部屋行ってもいい?」
「勿論。」
別にアーサー自身が嫌いだとかそういうのは無いが、アーサー本人も言っているように女好きである事は自他共に認める事実。
「こいつの時間は俺のもんだ。」
しっかりと手を握らなければ蝶のように逃げ出してしまう女。他の男をその視界に入れる事さえも今は許し難いと思ってしまう。
「え?ちょっと、ナポレオン?」
アーサーの元へ行こうとする遥香の手を掴み、そのまま自室へと遥香を連れ込んだ。