第9章 真冬の日〈A×S〉
~S.
5人での仕事が終わり、今日は雅紀からのお誘い
もなく、早く家に帰ってきてしまった
「ん〜、途端に暇だな…、」
一人で呟いてみたところで、何かが変わる訳もなく
閑散としたリビングに俺の声が響く
もうそこそこいい時間だし、と冷蔵庫から
お酒やらつまみやらを出し、テーブルの上に
並べていく
テレビをつけ食べようとしたときスマホが震えた
画面を見てみれば雅紀からで…、頭にはてなを
浮かべたまま電話にでる
「はぁい、どうしたの雅紀」
『あ、しょーちゃん??今さ家?』
電話越しの雅紀は何だか楽しそうだった
「家だけど…、どうしたの?」
『たまにはさ、家で飲もう!今から行くねー!』
その言葉を最後に通話が終了した
「今から…、雅紀が…?来る?」
リビングを一回り見て、急いで片付けにはいる
広げてた資料や紙を一つに纏め、雑誌類が
重ねてある上にのせる
置きっぱなしの服は全部かき集めて寝室に
放りなげて、ドアを閉める
「はぁ…、いつもより綺麗…、」
寝室のドアに凭れながら呟く
程なくしてインターホンが軽快な音をたてる
それに答えるようにして玄関のドアを開ける
「どうぞはいって、雅紀」
寒そうに身を縮めながらにこにこと中にはいる
「おじゃましま〜す、あ、はいお酒買ってきた」
がさりと音を立てた袋を俺に渡しながら
リビングに入る雅紀
「ぉ〜、暖かい、てかしょーちゃん家久しぶり、」
「あ、確かに、最近は外食が多かったもんね、」
テレビの前のソファに座りながら言う雅紀に
返事をしながら、元々並べてあったお酒の隣に
雅紀が買ってきてくれたお酒を並べる
「ありがとしょーちゃん!…よし、飲も!」
「ん、全部缶だけど…、飲も!」
さっきまでの静かさは無く、少し温かみを感じる
リビングで雅紀と二人で飲む
「はぁ〜、こんなに何でも話せる人なんて他に
誰もいないかもなぁ…」
少し酔いが回ってきて、色んな話をし、ふと
そう口に出す
何だかよくわからないけど、雅紀なら…
何でも話せるんだよね、
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