第3章 裏の裏〈O×S〉
~O.
翔くんは知らない。
オレが全部、知ってる事を。
今日もオレの下で可愛く鳴いてるしょーくんが、
もう何年もオレに内緒で女の人に会って、
自分の欲を満たしてるなんて、知らない訳がない。
昨日も女の人のきっつい香水香らせながら帰って
きて、悪びれた様子のなく、オレと接する
しょーくんに、
バレないようにすんの、大変なんだよ?
「しょーくん、きもちい?」
「んッ、んやぁ、!あッ、きもち、さと、しく、」
聞けば必死に答えてくれるしょーくん。
あー、可愛い。
周りから見ればオレが被害者っぽいけど、
実際のとこの被害者はオレではない。
第三者である女の人だと思う。
「そ、よかった、」
そう笑えばしょーくんは決まって少し目が揺らぐ。
知ってるよ。
オレにバレそうで怖がってんでしょ。
ずっと一緒にいるから、すぐわかる。
本人に悪意がなくともきっと心の奥底には悪意が
あるんだと思う。
じゃなきゃ目も揺らがないし。
でもね、オレは今のまんまでいーよ。
しょーくんが望んでオレと一緒にいるから。
浮気しても、結局オレんとこ帰ってくんだから。
しょーくんはオレを必要としてるから。
「しょーくん、好きだよ」
そう言えば必死に俺もと答えてくれる。
オレはしょーくんが浮気を始めた頃から
頑張ってきたんだよ。
しょーくんがオレなしでは生活できないように。
だからほら、今もずっとそう。
どんなに女の人と寝ようが絶対帰ってくるでしょ?
律儀だよね。しょーくん。
「明日の夜は?家にいる?」
オレは今日も聞く。
しょーくんが絶対帰ってくる様に。
物理的には縛らないよ。
しょーくんがきづかない程度の言葉でゆっくりと、
じわじわ、縛ってく。
しょーくん。バレないと思った?
オレには全部、バレてるよ。
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