第6章 第5章 初戦闘体験
最後だけ苛だしげな口調で言って、
紫乃は零の元へ走ろうとする。
しかし、すぐにその存在に気づき、
足を止めた。
零の真後ろ、その上空に黒い戦装束
に身を包んだ小柄な男が浮いていた。
顔には目元だけを隠す『目』と書か
れたお面を付けている。
少し癖のある金茶色の髪をした男は
口元に不敵な笑みを浮かべたまま、指
をパチンと鳴らした。
その瞬間、先ほど起こった爆発が起
きた。
先ほどよりも規模の大きい爆発に、
桃花は咄嗟に防御璧を張った。
咄嗟だったので、零までは囲えなか
った。
土煙が少しずつ晴れていく。零の姿
が見当たらない。桃花は零の姿を探し
た。
目を凝らして探していると上空で金
属同士がぶつかる音がした。
視線を上に向けると、零が剣で仮面
の男に斬りかかっていた。
仮面の男は短剣で零の剣を受け止め
ており、刃と刃がカチカチと震えてい
た。
「なぁんで、あの爆発2回も食らって
無傷なんだかね、あんた」
仮面の男は腕に力をいれて零の剣を
押し返した。
そしてがら空きになった零の胴体を
短剣の塚で殴った。
零は呻き声すら上げず、仮面の男の
手首を掴み、力任せに投げた。