第9章 第８章 遊園地

「これで理事長に会う口実が減った」
　
「リーシアのことも、嫌いなのか？」
　
　も、と付けたのは以前紫乃が社咲は
話しかけても無視すると言っていたの
を思い出したからだ。
　
　てっきり、嫌っているからこその行
動だと思ったのだが、翼は首を振って
否定した。
　
「理事長も他のみんなも嫌いじゃない
よ。むしろ好きな分類。
　
　だけど、好きだからこそ関わりは極
力持たないほうがいいと思って」
　
「どうしてだ？」
　
　好きならたくさん関わりを持って、
親密になるのが普通なのに。
　
　翼は困ったような笑みを浮かべる。
　
「仲良くなりすぎて、刺しちゃったら
たいへんだろ」
　
「いやいや……普通は仲良しを刺さな
いだろ」
　
「仲良しだからこそ刺したいと思うん
だよ。常識だろ」
　
　そんな常識聞いたことはないのだが
昴は黙って話の先を聞く。
　
「人間って仲良くなったら互いのことを
知りたがるだろ？ そんで自分のこ
とも知ってもらいたがるだろ？
　
　でもさ、言葉で言ったって訊いたっ
てあくまでその人の表面しかわからな
いだろ？
　
　本当に相手の内側まで知りたいって
いうなら簡単だよ。
　
　皮を剥いだらいい。内側が見れる」
　
　なんともめちゃくちゃな理論に昴は
言葉を失う。