第6章 第5章 初戦闘体験
頭の半分が潰されても死んでいない
クルーンを見て、桃花は少し離れたと
ころにいる夕に声をかけた。
「え、マジか、悪ぃ。そっちが殺っと
いてくれ」
「えぇ……」
桃花は不満げに口を尖らせてクルー
ンの頭を完全に潰す。
昴は桃花の後ろを金魚の糞のように
くっつきながら感心していた。
零と紫乃がクルーンを斬ったり撃っ
たりして倒し、微かに息のあるものは
夕と桃花で仕留める。
仕留めるやり方は頭を踏み潰すとい
う残酷なものだ。
だが、スプラッター映画を見ながら
焼肉を食える昴は吐き気や嫌悪感は抱
かない。
機械作業のようにクルーンが死んで
いくのを昴は『残飯処理』みたいだと
思った。
零と紫乃が不必要なものを処理しや
すいようにして、夕と桃花がそれを廃
棄する。
「…………」
昴はチラリと足元を見た。
桃花が見落としたのか、クルーンが
倒れている。
虫の息のクルーンの頭を昴は試しに
踏んでみた。
夕はともかく、女の桃花でさえ踏み
潰せるのだから、自分もできるはずだ
ろう。
単純思考でそう考えたが、クルーン
の頭は潰れなかった。