第5章 第4章 歓迎会
言葉の裏で言わんとすることを察し
たのか、紫乃は一音だけ声を洩らすと
目を逸らした。
「えっと、いつか増えてくれるよ」
「お気遣いどうも」
紫乃の優しさに昴が涙を覚えている
とチャイムの音が鳴り響いた。
見てみるとリーシアがチャイムを連
打している。
「おい、何やってだ!」
昴はリーシアの首根っこを掴んで無
意味な連打を止めされる。
「だって~、早く部屋見たい~」
ぷらんとぷらんと浮いているリーシ
アが足元をバタバタとさせる。
「だからって無闇に連打すんな! 餓
鬼かおまえは……って実際子どもか」
「失礼な! 餓鬼が理事長なんてやっ
てられないよ! というか降ろせよ」
昴はリーシアの首根っこから手を離
すと、地面に降ろしてやる。
「今開けるから待ってて」
「早くね」
紫乃はポケットから鍵を取り出し、
鍵穴に差し込む。
「はい、どうぞ」
紫乃がドアを開けると、リーシアが
真っ先に入り込んだ。
「おぉ! 紫乃くんらしい部屋だ! ほ
らほら、みんなも遠慮なくせずに早く
上がりたまえよ」
「おまえ家主じゃないだろ……」