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イチイ

第5章 第4章 歓迎会


「……? 昴くん?」
 
「……タメ口だ」
 
 ぼそりと呟く昴に桃花は聞き返す。
 
「何?」
 
「いや、タメ口だなぁって……」
 
「? 私前にタメ口で話していいかな
って訊いて、昴くんいいよって言った
じゃん」
 
「いや、その翌日に敬語になってたか
ら……」
 
 だから、あの場限りのタメ口だった
のかなと思ってた。
 
 昴は言葉の裏にそう匂わす。
 
「一応、昴くん年上だから……。学校
の中じゃ敬語で話すに決まってるじゃ
ない」
 
「あぁ、なるほど」
 
「じゃあ、おれにも学校では敬語使っ
てくれてもいいんじゃないかね?」
 
 ふたりの後ろを歩く夕が、頭の上で
腕を組みながら唇を尖らせる。
 
 桃花は振り返り、後ろ向きで歩きな
がら、ないないと手を振った。
 
「夕に敬語とか無理だよ。それに、学
校でもひとりくらいタメ口で話す友達
がほしいし」
 
「おれも年上なのに?」
 
「だから、ひとりくらいは学校でもタ
メ口で話したいの」
 
 桃花は前を向き直すと、歩く速度を
緩める。
 
「夕だって、私の敬語いやでしょ?」
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