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イチイ

第4章 第3章 模擬戦闘体験


「これって制限時間ありました?」
 
「ボクの気分で終わる」
 
「死ぬ1歩手前には終わらせてあげて
くださいね」
 
 そんな呑気な会話をしているふたり
を他所に昴は顔や体に擦り傷を負いな
がら、汗だくになっていた。
 
 紫乃の動きも攻撃も何とか眼で追っ
て、防いだりかわしている感じだ。
 
 疲れてきているこちらとちがって紫
乃は特に疲れた様子はない。
 
「比奈くん、絶対体育の成績いいでし
ょ?」
 
「体育だけは……なっ」
 
 昴は一切攻撃せず、防御に徹してい
る。
 
 攻撃しないわけではなく、できない
のだ。
 
 荒い息を整えながら昴は観客たちを
見た。
 
 目が合った桃花が呑気に手を振って
くる。
 
 昴はそれに軽い苛立ちを感じるが、
今は気にしてられない。
 
 紫乃の動きはだんだん速くなり、眼
で追うのすら難しくなっている。
 
 体力には自信あるが、開始から全力
を出しているようなものだ。
 
 そろそろ終わらせてもらわないと死
ぬと思っていると、リーシアが声をか
けた。
 
「はぁい、終了!」
 
 ピタリと紫乃の攻撃が止まる。
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