第2章 第1章 戦闘員出動
クルーンとは国からの正式な討伐対
象の死魔のことだ。
そいつらは不規則に現れては人間を
殺していく。
それだけなら正式名称を死魔にすれ
ばいいのだが、見た目が道化師に似て
おり、クルーンと呼ばれるようになっ
た。
クルーンは道化師のような仮面と服
装で現れる。そうして、踊るように人
間を殺すのだ。
何の力もない人間など片手で首を引
きちぎられ、殺される。
クルーンが現れ始めた頃、糸杉市の
人口は減っきいき、これでは不味いと
政府が緊急会議を開いた。
特に何の意味もない議論は少2時間
ほど進み、時間を消費しただけで、何
の対策も得られないのか。
そう、政府の人たちが憔悴している
と、突然幼い声がかかった。
「ボクが何とかしてあげようか?」
驚いて声のしたほうを振り返ると、
開いた扉の横に年端もいかない少女が
立っていた。右横には齢13歳ほどの
背の高い少女も立っている。
厳重に鍵を掛け、護衛も立てていたは
ずだ。
なのに、現れたふたりを見て政府の
人たちは動揺する。
それを面白そうに見ながら年端もい
かないほうの少女が言った。
「護衛なら眠ってもらった。鍵は勝手
に開けちゃった。魔法でカチャリとね。
壊してもないし、殺してもいないか
ら安心して」