第2章 第1章 戦闘員出動
一時限目が終わり、桃花が次の授業
の準備をしていると、天井近くの壁隅
に張りつけられた放送機器から呼び出
しがきた。
桃花は手を止め、放送機器を見上げ
る。
『てください。───繰り返します。
境桃花さん、桐谷夕さんは至急0番
室まで来てください』
放送はそこで切れ、桃花は顔を窓際
後ろへと向ける。
背もたれに寄りかかるようにしてだ
らんとしていた男子生徒は桃花の視線
に気づいて立ち上がって近づいてきた。
「呼び出しか」
「みたいだね。急ごう」
桃花は夕の手を取り、教科書類をそ
のままにして教室を出る。
0番室への道すがら、桃花に夕が質
問する。
「おれ、何かしたっけ? あ、でも
桃花も呼び出されるから個人的なので
はないのかな」
「私に訊かれてもわかんないよ。夕な
ら何か問題起こしてそうだけど、私は
いい子だもん。夕とセットで個人的に
呼び出される覚えなんてないよ」
桃花は軽く頬をふくらませながら、
夕を見上げる。夕は苦笑して肩を竦め
た。
「個人的じゃないなら、部隊の呼び出
しか。……クルーンかな?」
『クルーン』という単語を聞いた瞬
間桃花の顔が曇った。
「……まぁ、普通に考えたら……それ
しかないよね」