第4章 第3章 模擬戦闘体験
口ではそう言っているが、表情はあ
んまり悔しそうには見えない。
「あ、比奈くんと桃花ちゃん。夕くん
はどうしたの?」
紫乃はふたりに気づくと、駆け寄っ
てくる。
「夕は家の用事があるかって、もう帰
っちゃった」
「え~、夕くんいないなら、比奈くん
が怪我しても治してもらえないね。
あ、でも、夕くんいても自己完治し
ろとかいうのかな?
魔法に頼りすぎてもだめだしねぇ」
紫乃の言葉の中で昴は気になる点を
見つけた。
「えっと? 怪我したらって言ってる
が……俺怪我させられるのか?」
「え? すると思うよ? 模擬戦闘する
んだよ?」
紫乃は何今さらなこと言ってんの?
という顔で昴を見る。
「いやいや、模擬戦闘だろ? 何で怪
我するんだよ!?」
昴としては、竹刀や肉弾戦となども
いった、怪我はしないが痛い思いはす
るかもしれないという認識だった。
なのに、怪我するのは当たり前のよ
うなことを言われては動揺するしかな
い。
「大丈夫だよ、怪我するっていっても
死なない程度だから」
「それって裏を返せば死ぬ1歩手前ま
ではいく可能性あるんだろ!?
詐欺だ! 訴えてやる!!」