第4章 第3章 模擬戦闘体験
馬鹿にしたような口調で言われて昴
は心の中で軽く毒気つく。
昴はもう馬鹿にされないようにと、
桃花の少し後ろを歩く。
ふたりは突き当たりまで進むと、外
へと繋がる扉を開ける。
外に出ると、柱付きの外廊下を通っ
て灰色の四角い建物の前に着いた。
窓も扉もない、大きな箱のように見
える建物を昴は見上げる。
「ここか?」
「はい。ここが訓練場ですよ」
「ただのでっかい箱に見えるんだが」
昴は手の甲で壁を叩いた。
叩くとコンという音がして、撫でて
みると、滑らかな手触りがした。
何の材質を使っているのだろうか。
「どうやって中に入るんだ?」
「ここには、戦闘部隊全員が所持して
いるIDカードで入ります」
桃花は制服のポケットからカードケ
ースを取り出すと、証明写真と数字が
書かれた面を壁に近づけた。
IDカードが触れた壁の部分がぐにゃ
りと歪み始め、ぽっかりと大きく丸い
穴が空いた。
穴が空いているのに、真っ黒だ。
「お? これが入口……?」
「はい、中は入らないと見れないよう
になっています。
一定時間を過ぎると閉じてしまうの
で、早く入りましょう」