第4章 第3章 模擬戦闘体験
「彼らが……気づかないと……」
リーシアは爪が食い込むほど強く拳
を握る。
爪が肉に食い込み、血が流れる。
「理事長、血が出てるわ」
沙弥はリーシアの手をとると、拳を
開かせる。
「ん? あぁ、ごめん」
「なぜ謝るの? その程度なら自分で
治しなさい」
「そこはもっと優しくしてよ~」
リーシアは文句を言いながら、手首
を捻りながら手を閉じた。
そして、また開く。もうさきほどの
血は消えていた。
「君さ、もうちょっと敬意をもった話
し方できないのかい?」
「あら、誰かがいるときはそうしてる
じゃない。
ふたりきりなのにあんたに敬語で話
すなんて鳥肌が立つわ」
「酷いな。君のことをお淑やかだの清
楚だのいってる奴らに真実を教えたい
よ」
リーシアは万年筆を手に取るとくる
りと回す。
「やれるもんならやってみなさい。
……そういえば、あの男子はあたし
を知らなかったのかしら?」
「たぶんね。ボクのことも理事長だと
知らなかったみたいだよ、最初は。
何回か集会で喋ってるんだけど」