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イチイ

第3章 第2章 媒体


 すると、桃花は昴の心を読んだかの
ように、悪気なしに言った。
 
「見られたら、困る物があるからです
か? 例えばエロ本とか。
 
 エロ本以外なら、う~んと、部屋中
に2次元のキャラのポスターとかフィ
ギュアがあるとかですか?
 
 もしくは両方?」
 
 昴はきゅっと口を閉じると、心臓を
バクバクさせながら首を振った。
 
「秘密の書なんて俺は持ってないぜ、
うん。マジで。ポスターもフィギュア
もないない。うん」
 
「? そうですか。まぁ、男子だし、
エロ本があっても、私は何も言いませ
んよ?」
 
「秘密の書と言いなさい」
 
 女子なのにエロ本を連呼するのはい
ただけないだろうと思い、昴は注意す
る。
 
「秘密の書っていうより、賢者の書っ
て感じしますけど、わかりました」
 
「あ、確かに……、言われてみれば賢
者の書のほうがしっくりくる……」
 
「じゃあ、賢者の書にしましょうよ」
 
「あぁ、そうだな……って、それはど
うでもいいんだよ。話が脱線してる」
 
「何の話でしたったけ?」
 
「……忘れた」
 
「あはは、ふたりして忘れてる。
 
 送ってくれてありがとうございまし
た」
 
 桃花はペコリと頭を下げる。
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