第2章 第1章 戦闘員出動
「あぁ。……遅くなってもいいか?」
「いいけど、ひとつだけだろ?」
昴は目を逸らして、軽く俯く。
無言で首を振って否定した。
「じゃあ、ふたつ?」
これも否定する。益々俯いた。
夕は器用に片眉を上げた。恐る恐る
訊く。
「みっつ? よっつ? 全教科?」
「いや……よっつ……です」
俯いて、蚊の鳴くような声で言った
昴を夕は呆れた目で見る。
桃花が思ったことを遠慮なく口にし
た。
「朝比奈さんってばかなんですね。補
習よっつとかありえないです」
オブラートの『オ』の字もない言葉
が昴の胸を刺した。
「ちなみにどの教科なの?」
紫乃の問いに昴は少し沈黙してから
答える。
「古文と英語と数学と歴史。
ていうか、これは、赤点でも仕方な
いだろ。俺日本人だし! 平成生まれ
だし! 数学とか知らねぇよ!」
半ば逆ギレ気味に昴は地団駄を踏ん
だ。
そんな昴を見てた、桃花は笑いを噛
み殺して言う。
「じゃあ、補習終わったら遅くなって
もいいんで、来てください」