第2章 第1章 戦闘員出動
「俺はクルーンを全滅させたい。その
ために俺が必要なら力になりたい。
でも、自分の命を捨ててまで誰かの
力になろうと思えるほど、俺は善人じ
ゃないから……。
だから、おまえらが決めてくれ」
桃花たちは無言で昴を見つめる。誰
も何も言い出さない。
昴も何も言わず、待っている。誰と
も目を合わせない。
長い沈黙があって、紫乃が沈黙を破
ろうとした時、零が昴に近づいた。
そして思いっきり昴の顔面を殴る。
「え? うぼっ!?」
昴は衝撃によろりとふらついた。
鼻をおさえ、床にポタポタと落ちる
溢れ出た鼻血を手で受け止める。
「な、何で……?」
昴には殴られた意味がわからない。
怒らせるようなことをした覚えはなか
った。
零は昴を睨んだまま、一言言った。
「むかつく」
それだけ言うと、また壁のほうに行
って、お菓子を食べ始める。
「え? はあ?」
「あぁあ……! うちの子がごめんな
さい!」
桃花が慌てて頭を下げる。
「すいません! すぐ手と足が出る子
で……。暴力をすぐに奮うなと何度も
言ってるんですが……」